基板製造に必要なガーバーデータとBOMとは?分かりやすく解説

2025/03/28

ODM基板開発

電子機器を作るにあたり、基板製造は欠かせない工程の一つです。しかし、基板の製作、実装するためには、ガーバーデータとBOM(部品表)を正しく準備する必要があります。
本記事ではガーバーデータの役割やフォーマットの一覧、作り方、BOMの基本構成や注意点 について解説し、最後に基板実装を外部に委託する際の流れやチェック項目を紹介します。

基板製造に欠かせないガーバーデータとは?


ガーバーデータとは、基板製造時に使用される標準的なフォーマットの設計データです。このデータを基に、基板の配線パターンやレイヤー情報、ドリル位置、シルク印刷のデザインなどが工場で加工されます。

ガーバーデータの役割

1. 基板のレイアウト情報を伝える:配線パターン、パッドの位置、ビア(貫通穴)の配置などを指示。
2. 製造機械が正確に加工できるようにする:工場での自動化された製造工程に適したデータ形式で出力。

ガーバーデータのフォーマット

特に外部の基板実装会社へ製造を委託する場合、基板メーカーごとに求められるデータ仕様が異なるため、事前に工場のガーバーデータ要件を確認し、適切なフォーマットで提供することが重要です。
・RS-274D:初期のガーバーフォーマットで、フォント情報が含まれない。現在はあまり使用されない。
・RS-274X:現在広く使われる標準フォーマット。ドリルデータやフォント情報も含む。
・Gerber X2:より詳細な情報が含まれる最新のフォーマット。

ガーバーデータの拡張子は以下の通りです。

  • .gbr(一般的なガーバーファイル)
  • .gtl(トップレイヤー)
  • .gbl(ボトムレイヤー)
  • .gts(ソルダーマスクトップ)
  • .gbs(ソルダーマスクボトム)
  • .drl(ドリルデータ)

ファイル名や拡張子が間違っていると基板メーカーが正しくデータを認識できず、製造トラブルにつながる可能性があるため、ガーバーデータの一覧を事前に確認し、適切な形式で提出することが重要です。

ガーバーデータの作成・変換方法


ガーバーデータの作成・変換方法は以下の通りです。
※ガーバーデータは一般的にPCB設計ソフトから出力します。

  • KiCad(オープンソースで無料利用可能)
  • EAGLE(使いやすい・設計からガーバーデータ出力までスムーズ)
  • Altium Designer(高機能・プロ向けソフト)

ガーバーデータの作成手順

ガーバーデータの作成手順は以下の通りです。
【1】基板設計を完了する(配線、レイヤー構成、部品配置を確定)
【2】ガーバーデータを出力(各レイヤーのデータを個別のファイルとして作成)
【3】拡張子を確認し、適切に整理(誤ったファイルが含まれていないかチェック)
【4】製造業者の推奨フォーマットに変換(必要に応じてRS-274Xなどに変換)
【5】ガーバービューワーで最終確認(無料のガーバービューアを使い、正しく表示されるかチェック)

ガーバーデータを出力したら、工場の推奨するフォーマットや拡張子に適合しているかを事前に確認することが重要です。また設計時にdxf形式のデータが必要な場合もあるため、英語表記の仕様書などをよく確認することも推奨されます。

BOM(部品表)とは?基板実装に必要な情報を解説


基板実装を行う際、ガーバーデータと並んで欠かせないのがBOM(Bill of Material:部品表)です。BOMは基板上に実装するすべての部品情報を一覧化したデータであり、部品の種類や型番、数量、配置情報などを正確に伝える役割を担います。
外部の基板実装会社へ製造を委託する場合、正確なBOMを用意することがスムーズな生産やコスト削減につながるため、事前にその重要性を理解しておくことが大切です。

BOMの基本構成

BOMの基本構成は以下の通りです。

  • 部品番号(Part Number):各部品を識別するための固有番号
  • 部品名(Description:部品の名称
    例:抵抗、コンデンサ、ICなど
  • 型番(Manufacturer Part Number):メーカーが指定する正式な型番
  • 数量(Quantity):実装する部品の数量
  • 配置情報(Designator):各部品の基板上の配置位置
    例:R1、C3など
  • メーカー名(Manufacturer):部品を製造するメーカー名
  • パッケージ(Package):部品の形状やサイズ
    例:SMD、DIPなど

ガーバーデータは基板の「設計図」、BOMは「材料表」のような関係で、BOMに記載された部品がガーバーデータの設計と一致していなければ、正しく基板が製造・実装できません。実装業者はBOMを基に部品を準備し、ガーバーデータに従って基板上に配置を行います。そのためガーバーデータとBOMの整合性を事前にチェックすることが、基板実装の成功に直結します。

●注意事項

BOM作成時の注意点は以下の通りです。
▶部品の型番や数量を正確に記載する

メーカー型番、数量は正しいか?配置情報は基板設計と一致しているか?

▶フォーマットを統一し、実装業者が読みやすい形にする

実装業者の推奨フォーマットに合わせる。不要データ削除、シンプルでわかりやすい表であることもポイント

▶代替部品の情報を追加する

一部の電子部品は調達に時間がかかる場合があるため、代替可能な部品の情報を記載しておくと、調達がスムーズに

▶必要に応じてdfxデータと組み合わせる

BOMの補足情報として、dfx(Design for eXcellence)データ を活用することで、製造性や組み立てやすさを考慮した設計が可能に

ガーバーデータとBOMを準備して基板実装をスムーズに!


基板実装を外部委託する際、ガーバーデータとBOMを適切に準備することがスムーズな製造のカギとなります。ガーバーデータは基板の設計情報を伝え、BOMは実装する電子部品の詳細を記載するため、両者の整合性が取れていなければ製造ミスや納期の遅延につながる可能性があります。

●基板実装を外部委託する際の流れ

【1】設計データの完成:ガーバーデータ出力、BOM作成
【2】実装会社の選定と見積もり:予算や納期、品質基準を考慮。ガーバーデータとBOMを提出して見積もり
【3】データの最終確認と発注:設計データのDFM(製造性設計)チェックを実施して実装可能か確認
【4】基板実装と検査:量産前に試作品の動作検証を実施。量産後は実装後に外観検査や電気検査を実施
【5】納品・品質保証:基板の品質を確認し、問題がなければ受領

●外部委託時に確認すべきチェックリスト


以下のようなチェックリストを活用することで、基板実装の外部委託時のトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

□ガーバーデータの確認

・レイヤーは正しいか?

・拡張子(.gbr, .gtl, .gbl, .drlなど)が適切か?

・ガーバービューワーで確認し、データ抜けはないか?

□BOMの確認

・部品型番・メーカー名・数量が正しいか?

・代替部品の情報を含めているか?

・実装会社の推奨フォーマットで作成しているか?

□データの整合性チェック

・BOMとガーバーデータの部品配置が一致しているか?

・実装図やシルク印刷データが適切に作成されているか?

・DFMチェック(製造性設計チェック)を行ったか?

□実装業者との最終確認

・見積もり内容と納期を確認したか?

・試作品のテスト結果を検証したか?

・量産前に問題がないか最終チェックしたか?

事前のチェックリストを活用してデータの整合性を確認することで、納期遅延や実装ミスを防ぎ、効率的な基板製造を実現できます。正確なデータを準備してトラブルなく基板実装を進めましょう。

基板の実装、組立の委託をご検討している方はお気軽にお問い合わせください。お客さまのご要望に合わせたご提案をさせていただきます。

▼関連資料
お電話でのお問い合わせ

0120-963-166

携帯電話からは048-255-0066