ソルダーレジストの役割とは?種類と使い方を解説
2024/11/28
ODM基板開発
ソルダーレジストとは、プリント基板の製造に欠かせない保護材です。半導体や電子製品が進化してますます高機能化・小型化する中で、ソルダーレジストの役割はますます重要になっています。しかし具体的にどのような材料や成分で作られていて、どのような工程で使用されるのか、知らない方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、ソルダーレジストの役割や種類、基本的な使い方について詳しく解説します。
ソルダーレジストとは?その役割と重要性
▲イメージ写真
ソルダーレジストは、プリント基板(PCB)の表面に塗布されるインクやフィルム状の保護材料で、電子機器の品質と耐久性を支える重要な要素です。主に緑色のものが使用されており、これは視認性が高く、UV硬化に適しているためです。
ソルダーレジストの役割は基板の回路を保護することです。はんだ付け工程では、はんだブリッジによるショートのリスクがありますが、ソルダーレジストがあることで回路間のショートを防ぎ、製品の信頼性が向上します。また湿気や化学物質から基板を守るため、腐食防止にも効果を発揮します。特に半導体やパワーデバイスなど過酷な環境下で使用される製品では、この保護機能が重要です。
近年電子機器は小型化・高性能化が進んでおり、基板上の回路設計も複雑化しています。そのためソルダーレジストはますます重要視され、適切な材料の選定が基板の品質に直結しています。さらに耐熱性の高い成分を含むソルダーレジストは、高温環境にさらされる実装工程でも安定した性能を発揮し、基板の長寿命化に貢献しています。
ソルダーレジストは基板製造の裏方として重要な役割を果たしており、品質の高い電子製品の実現には欠かせない存在です。
ソルダーレジストの種類と特徴
ソルダーレジストには「液状型」と「フィルム型」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
液状型
液状型はインク状の材料をスクリーン印刷やスプレーで塗布するタイプで、複雑な形状の基板にも対応可能です。低コストで用途に応じた耐熱性や化学耐性の高い成分が含まれた製品が多く、実装工程での柔軟性が特徴です。
フィルム型
一方フィルム型はシート状のレジストを基板に貼り付け、UV光で硬化させるタイプです。均一で高精度な塗布が可能で、微細なパターンや高密度な基板に向いています。剥離剤を使用する工程が少ないため、クリーンな仕上がりが得られるのもメリットです。
またハロゲンフリーや高耐熱性レジストも、環境への配慮が求められる現代の製造現場で広く使用されています。ハロゲンフリーは有害ガスを出さず環境に優しい製品で、高耐熱性レジストは温度が200℃以上の過酷な環境でも安定した性能を発揮し、車載機器やパワーデバイスなどの過酷な条件に耐えることができます。
適切なソルダーレジストの選定は、基板の用途や使用環境に応じて行うことが重要です。液状型はコストと柔軟性、フィルム型は精度と仕上がりの美しさが特徴で、目的に応じた使い分けが求められます。
ソルダーレジストの使い方と注意点
ソルダーレジストの適切な塗布は、基板の品質と耐久性を左右します。
主な塗布方法には、スクリーン印刷、スプレー塗布、フィルムラミネーションの3種類があります。
●スクリーン印刷
スクリーン印刷は液状型ソルダーレジストを基板全体へ均一に塗布する方法で、大量生産に適しています。インク量の管理と硬化処理が重要で、UVや熱での硬化が一般的です。
●スプレー印刷
スプレー塗布は複雑な形状の基板や部分補修に適しており、精密な塗布が可能です。しかし余分な部分への付着を防ぐため、マスキングが必要となります。
●フィルムラミネーション
フィルムラミネーションはフィルム状のレジストをラミネートする方法で均一な厚さが得られ、微細なパターンに適しています。
塗布作業でよくある問題として、気泡の発生や不均一な塗布が挙げられます。気泡は基板表面に異物が混入することで発生しやすいため、清潔な環境が求められます。不均一な塗布は、特にスクリーン印刷で起こりやすく、インク量やスクリーンの設定に注意が必要です。さらに、高温やUV光の影響により、剥離やクラック(亀裂)が生じることもあります。耐熱性のあるレジストや適切な硬化処理で防止することが可能です。
効率的にソルダーレジストを使用するためには、使用環境や用途に合った材料の選定と、埃や湿気を排除した清潔で安定した作業環境の管理が重要です。特に、高温環境や精密な実装が求められる場合には、200℃以上の耐熱性を持ち、腐食や化学的影響に強い成分を含んだレジストを選ぶことが推奨されます。こうした製造条件や製品仕様を考慮した工程設計と材料選定により、基板の保護性能が向上し、製品の品質や信頼性が高まります。
ソルダーレジストは基板の回路を保護し、ショートや腐食を防ぐために欠かせない材料です。液状型やフィルム型、耐熱性が求められる環境や環境負荷を考慮したハロゲンフリー製品など、基板の用途や使用環境に応じた種類を選ぶことが重要です。均一な塗布が可能な方法を選択し、埃や湿気を排除した清潔な作業環境を整えることで、基板の品質と耐久性を向上させることができます。基板の特性や製造条件を考慮して最適なソルダーレジストを選び、工程を正確に進めることで、高性能な電子機器の製造を実現しましょう。
ニッポーでは、さまざまな分野、環境で使用されている電気・電子回路の設計・開発からプリント基板の設計・開発・製造を行っております。詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。