制御システムとは?種類と利用例・開発依頼時の注意点を分かりやすく解説
2024/06/26
ODM基板開発
5Gやロボットなどの市場拡大をキッカケに注目度が高まっている制御システム。
「制御システムは何となく知っているが、基礎知識や開発工程などはわからない」「制御システムがどんな分野に活かされているかわからない」という方も多いのではないのではないでしょうか。
この記事では制御システムとは何か、利用例、開発を依頼する際の注意点について解説します。
制御システムとは
制御システムとは、機械が設計・計画通りに動作するよう制御するシステムです。機械の安定した動作を可能にし、インフラ施設や工場などの大規模施設から、自動車や家電などの身近なものまで、多くの機械や施設に搭載されています。
●制御システムが注目される背景や今後
制御システムが注目される背景には、5Gやロボット、IoTなど、世界的に注目される「ネットワーク」を活用した分野への導入が進んだことが挙げられます。他にも産業用装置・遠隔医療機器・ドローンなど、益々成長をする分野での利用が増えたことで、制御システムの需要は今後も増していくと思われます。
また、従来の制御システムは、「ネットワーク」を通す必要がない機械や製品が多く、ネットワークセキュリティの対策が十分でありませんでした。しかし今日ではネットワークを通して稼働する機械や製品が増え、サイバー攻撃による情報漏洩や稼働停止などへのリスク対策が重要になっています。このため企業は制御システムのセキュリティ対策も合わせて対策を十分に検討する必要があるでしょう。
【製品別】制御システムが使用されている例
上述した通り、制御システムは、工場にある機械や自動車から、生活に関わるエアコンまで様々です。ここでは、制御システムが組み込まれた製品の具体例を紹介します。
自動車
自動車のエンジンやブレーキには制御システムが使用され、快適な走行を実現しています。ブレーキ制御システムの「ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)」や「EBD(電子制御ブレーキ力配分)」は、急なブレーキでも車両の姿勢が安定するような制御システムが設計されているのです。
エアコン
エアコンには設定した温度を保つための制御システムが使用されています。
たとえば、エアコンの温度を25℃に設定した場合、部屋全体の温度を25℃以下にならないよう制御します。これはエアコン内にあるファンモニターの回転数や風量を変化させることで部屋の温度を保っているのです。
ロボット
工場の生産ラインで使用されるロボットも代表的な例です。
ロボットに対して、指定した動作の順序や時間など様々な条件に合わせた「切断」「組み立て」「運搬」「加工」などの用途で制御システムが組み込まれています。
ロボットなら24時間稼働でき、工場の自動化、生産の効率化につながるため多くの機械、装置に利用されています。
温室(農業・園芸)
農業の栽培温室内でも温度管理をはじめとした様々な用途で使用されています。
温度管理では換気窓の開閉制御や、データの管理・記録が可能です。これらの管理方法を通して、生産の効率化や省エネ、省力化を実現しています。他にも、ビニールハウス内の土壌の水分調整や炭酸ガスの濃度調整など、野菜や果物の安定した栽培を実現させています。
制御システムの種類
制御システムには、いくつかの種類があります。
ここでは、「論理制御」「フィードバック制御」について紹介します。
論理制御
論理制御とは停止と実行の操作が必要なものに使われる制御システムです。スイッチやセンサーなどの入力装置からの情報を受け取り、その情報に基づき制御動作を行います。
<エレベーターの例>
利用者が行きたい階数のボタンを押すと、その情報が論理制御システムに送られます。ボタンを「押された」と制御システムが判断すると動作を開始しドアが閉まり、目的の階まで移動して停止してドアを開けると動作が完了します。
フィードバック制御
フィードバック制御とは機械の行動の結果をセンサーが感知して制御を行い、動作にフィードバックするシステムです。自動制御の一つであり、目標値と出力を比較しながら機械がオンとオフを繰り返し目標値に近づけます。
<エアコンの例>
エアコンはセンサーで現在の室温を測定し、設定温度との差に応じて室温を調整します。室温の変化に応じて、制御が繰り返され設定温度になると動作が緩和されます。
制御システムの開発(プログラミング)言語
制御システムの開発には、機械や目的に合わせ、制御システムにはさまざまなプログラミング言語が使用されています。代表的な言語は、「アセンブリ言語」「Java」「Python」「C言語」などです。
●アセンブリ言語
理解しやすい文字列や記号で開発されています。CPUの種類ごとに記述方法が異なり、処理速度の速さが特長です。
●Java
OSに依存せず、どのような環境でも開発が可能です。処理速度も速く、開発効率を高められるのが特長です。
●Python
IoT(モノのインターネットへの接続)に適しています。短いコードで簡単にプログラミングでき、機械学習に向いています。
●C言語
機械への指示を直接出せ、汎用性も高いためIoTに適しています。複雑な制御を行いたい場合は、C++が使用されることもあります。
制御システム開発の流れ
制御システム開発の流れを、開発プロセスの1種である「モデルベース開発」を例に解説します。
開発の流れは、以下の通りです。
要件定義
↓
外部設計
↓
内部設計
↓
実装作業・コーディング
↓
テスト
↓
実機評価
それぞれのステップについて、具体的に紹介します。
- 1.要件定義
- 2.外部設計(基本設計)
- 3.内部設計(詳細設計)
- 4.実装・コーディング
- 5.テスト
- 6.実機評価
制御システムの目標や要件を明確化する。
システム全体の設計をし、使用する言語・ハードウェア・ソフトウェアなどを選択する。
ユーザーからの要件の具体化をし、機能分割や物理データなどの詳細設計をする。
制御システムの実装作業を行い、プログラミング・ソフトウェア開発・ハードウェア設定・プロトタイプ作成などを行う。
設計通りに動作するか確認をする。
※単体のプログラムからテストをはじめ、次にプログラムを結合させた状態でテストを実施します。作業のやり直しを最小限にするためです。最後にシステム全体で仕様通りに作られているか、システムテストします。
依頼側の要求を満たしているか、実環境で確認をする。
制御システムを発注する際の注意点
制御システムの開発は、社内に開発者がいない限り、外部パートナーへ委託するケースが多いです。ここでは、自社が求める制御システムの開発を外部委託する際の注意点をまとめました。
①自社が求める要件を整理する
外部へ依頼する前に、自社が求めている制御システムを明確にしましょう。
開発会社に要望を正しく伝え、自社と認識の齟齬が起きないように要件を洗い出して方針を決定します。
要件の具体例は、以下の通りです。
●どのような機能が欲しいのか
●自動化する作業・動作
●目的
②開発会社の実績・得意分野を確認する
実績や得意分野の確認も大切です。「依頼したい分野における実績があるか」「得意とする開発環境や言語は何か」などを把握し、得意分野と合致する開発会社に依頼することでスムーズにプロジェクトを進められます。制御システムはハードウェアと関わりが深いため、「ハードとの連携や組み込み系の実績があるか」「自社の業務や既存装置との相性」も確認しましょう。
③見積もりで不明点がないようにする
当然ですが、見積もりの詳細が提示されるかは重要です。具体的には「項目の具体性」「サポートの有無」「セキュリティ対策」などが提示されているかを確認します。コミュニケーションがとりやすく、不明点に対し回答してもらえるかも大切です。見積もりに関するやり取りを通して、委託を検討している会社が信頼できるかを確認しましょう。
今後成長が見込まれる多くの分野で制御システムは欠かせない存在です。用途に応じて最適なシステムの選択、開発をすることで効率的で信頼性の高いシステム運用が可能になります。
株式会社ニッポーでは、制御システムの開発・構築を行っております。開発前の調査~開発~アフターサポートまで可能です。ぜひ一度ご相談ください。