CO2センサーの仕組みと原理を解説。組込みにおすすめの種類とは
2023/09/27
ODM基板開発
CO2センサーは、二酸化炭素(CO2)ガスの濃度を測定するためのデバイスです。外部環境へのCO2ガスの放出量を監視したり、エネルギー効率の向上や室内の快適性の確保に役立っています。今回はCO2センサーの仕組みと原理について解説します。
組込み可能なCO2センサーとは
CO2センサーには、環境モニタリング、居住スペースやビルディングの空調制御、産業プロセス管理、自動車内の空気品質管理など様々な用途があります。使い方も比較的簡単で、異なるセンサーと組み合わせたり、モジュールとして提供されることにより、製品への組み込みやアプリケーションとしても利用されています。
また、IoT(Internet of Things)デバイスとして使用することもできます。近年ではリアルタイムのデータを収集し、アプリケーションで可視化することができるようになったことで、活用の幅が大きく広がりました。
CO2センサーの動作原理
CO2センサーの一般的な動作原理は、主に次の2つあります。
●NDIR:赤外線吸収法(Non-Dispersive Infrared)
・NDIRセンサーは、『分子が特定の波長の赤外線を吸収する特性』を利用した方式です。
・光がどれだけ吸収されたかを測定し、その情報をもとにCO2ガス濃度を計算します。
●化学センサー
・化学センサーは、『酸化還元反応』を利用してガス濃度を得る方式です。
・CO2ガスによって、センサーの電気的な特性(抵抗、容量など)が変化し、この変化からCO2ガスの濃度を計算します。
主流のNDIR方式について「種類と原理」を解説
現在は、感度と安定性が高いことからNDIR方式のCO2センサーが主流となっています。ここからはNDIR方式のCO2センサーについて、さらに詳しく見ていきます。
単光源単一波長方式
【原理】
・赤外線光源/測定チャンバー/赤外線受光部から構成され、光源から発射された赤外線の量がどれだけ減ったかを赤外線受光部で検出し、数値化する。
・光源の光強度が時間の経過と共に変化するため、二酸化炭素濃度の測定誤差になる。
・CO₂センサーの表面に汚れが付着すると、二酸化炭素濃度が上がったと誤認識してしまう。
※自動校正機能を搭載した製品もありますが、設置場所や環境によっても条件が変わるため、不完全な調整となってしまう場合もあり、ドリフト(出力の変動幅)が長期にわたってしまう問題が残ります。
二光源単一波長方式
【原理】
・単光源単一波長方式に、補助的な光源を加えることでドリフトの補正を行う。
・光源を2つにすることで構造が複雑になる。
・CO₂センサーの表面に汚れが付着すると、補正に対しても誤差が生じる。
単光源二波長方式
【原理】
・検出器である赤外線受光部が2個設置され、そこに透過波長域の異なる光学フィルタを配置する。
(二酸化炭素を吸収する波長域と、吸収しない波長域での透過量を比較し、それを濃度に変換する方法です)
前述した単光源単一波長方式や二光源単一波長方式とは考え方が異なり、光源が1つに対して波長が2つとなります。唯一同じ条件下で同時に計測した検知量を比較できるため、どのような環境でも正しく安定した測定ができます。長期的に見てもドリフトが発生せず、正しく測定できるうえに構造がシンプルなのが大きなメリットです。
CO2センサーは、精度の高い検出が長期間継続できること、設置環境などの条件によってドリフトが出ないこと、メンテナンス性やコストなど用途に応じて選定することがポイントです。株式会社ニッポーでは、測定の再現性や自動補正機能、稼働時間に優れたセンサーモジュールをご用意しております。ぜひご相談ください。