シリアル通信とは?種類や違い、ネットワーク構築の考え方
2022/04/26
ODM基板開発
電気通信の方式にはシリアル通信、パラレル通信といった種類がありますが、近年はシリアル通信の採用が増加傾向にあります。これは、装置の省スペース化や低コスト化、高性能化といったメリットが期待できるからです。
従来、シリアル通信は通信速度でパラレル通信に劣っていましたが、技術の進歩により通信速度が改善された結果、近年ではシリアル通信の優位性が総合的に評価され、今日の普及に至っています。
今回は、シリアル通信の特徴や種類についてご紹介します。
シリアル通信とは
CPU間やCPUと周辺部品間はシリアル、パラレルといった通信方式が使用されます。シリアル通信とパラレル通信の違いは用いられる信号線の本数であり、シリアル通信は1本または2本の信号線を使いデータを順番に送信するため、1クロック当たり1ビットずつ送信します。対してパラレル通信は複数の信号線を使いデータを同時に送信するため、1クロック当たり複数ビットの送信ができます。こうした理由から、パラレル通信はシリアル通信よりも通信速度(ボーレート)を高速化することができます。
(注:ボーレートはデジタルデータを単位時間内に何回変調できるかを示す値)
しかし、パラレル通信では通信速度を上げるためにクロック周波数を上げたり、通信ケーブルが長くなると、信号線ごとに届くタイミングがずれる現象(スキュー)が問題になりました。このため、パラレル通信の開発は頭打ちになり、代わりに速度面を改善したUSBやPCIeなどの高速シリアル通信が普及しました。
シリアル通信の種類
シリアル通信はクロック線が別線である(非同期式)か、クロック線がなくクロック情報がデータに重畳されている(同期式)かという2種類に大別されます。
クロック線が別線であるシリアル通信はI2C、JTAG、UARTなどがあります。対して、クロック線がなくクロック情報がデータに重畳されているシリアル通信はUSB、PCIeなどがあります。これらは高速シリアル通信と呼ばれることもあります。
これらの高速シリアル通信はクロック・データ・リカバリ (Clock Data Recovery、CDR)機能を持ち、速度面で優れています。さらに、世界標準規格として策定されており仕様も明確です。
ネットワーク構築の考え方
ネットワークの構成の種類としては
・バス型トポロジー
・リング型トポロジー
・スター型トポロジー
・ツリー型トポロジー
・フルメッシュ型トポロジー
・パーシャルメッシュ型トポロジー
があります。シリアル通信は主に一対一接続が多いですが、バス型トポロジーやツリー型トポロジーをとることもあります。
Ethernetはより複雑なリング型トポロジー、スター型トポロジー、フルメッシュ型トポロジー、パーシャルメッシュ型トポロジーを取ることができます。
シリアル通信の物理層の規格
シリアル通信には物理層の規格として
・RS232-C
・RS422-A
・RS485
・Ethernet
等があります。このうち産業用機器ではRS485が最も多く用いられます。この規格は前身となったRS232-C/RS422-Aの上位モデルであり、1対の信号上に最大32台まで接続できるという特徴を持っています。複数の装置を同一データライン上に接続することができ、制御のリアルタイム性が確保できるため産業用機器に適した規格とされています。
以上、シリアル通信の特徴や種類についてご紹介しました。近年ではシリアル通信の速度も高速化され、様々な分野で利用されています。弊社ではこうした技術を利用し様々な分野でアプリケーションの開発を承っております。より詳しく聞いてみたい方はお気軽にお問い合わせください。