温度制御のしくみ~基礎編~
2021/03/10
ODM基板開発
私たちが普段使っている工業製品には、電子機器の心臓部であるプリント基板が使われており、そこから出される信号により温度等の自動制御が働く設計となっています。
今回は、温度制御の仕組みやどのような種類のシステムがあるのかなど、「温度制御の入門編」として基礎的なことを中心にご紹介していきます
温度制御ってどんなシステム?
温度制御とは、定められた設定温度に対して、温度が一定に保たれるようにするシステムのこと。
具体的に私たちの身近なもので例に出すと、エアコンがあげられます。
仮にエアコンの設定温度を20°Cにしたとしましょう。
その時、部屋が冷えていて室内温度が20°C以下であればエアコンは急速に部屋を温めます。
そのうちに室内温度が20°Cに到達すると、それ以上室内温度を上げないように調節し、再び室内温度が20°Cを下回りそうになれば、それに合わせ部屋を暖めます。
これは、エアコンの調節器の指示によりファンモーターの回転数や、温風の送風量を変化させ室温を20°Cに保っているのです。
このシステムこそが温度制御と呼ばれるもの。
この仕組みはエアコンだけでなく、身近な家電製品。
冷蔵庫や電子レンジ、コタツや給湯器など温度に関する製品のほとんどに温度制御のシステムが実装されています
ON-OFF制御
温度制御にはいくつかの種類があり、制御対象の特性などによって使い分けられます。
中でも代表的な制御方法の一つ「ON-OFF制御」を紹介します。
これは、読んで字のごとくONとOFFの2パターンの動作によって温度を一定に保とうとする制御方法です。
電気コタツを例に出してみましょう。電気コタツはある一定の温度に達すると自動的にスイッチがOFFになりますよね。
そして、温度が下がり出すと再び自動でスイッチがONになります。これがON-OFF制御と呼ばれる温度制御の働きです。
ただ、この方法には問題点もあります。
ONとOFFすなわち0か100しかないために繊細な温度調整を苦手としています。
例えば、電気コタツはヒーターの余熱などによりスイッチがOFFになっても温度が上昇し、設定温度を超えてしまうことがあります。
反対に、コタツ内が冷えてきてスイッチがONになったときも、ヒーターが温まるまでには多少の時間がかかるため、設定温度を下回ってしまうこともあります。
このように設定温度を超えてしまう現象をオーバーシュートと言い、これがON-OFF制御の弱点とされています
比例制御
上記のON-OFF制御の不安定さを改善すべく製造されたのが比例制御です。
0か100しかないON-OFF制御に対し、比例制御はその中間の回路で絶妙な調節が可能となりました。
例えば、目標の温度と現在の温度が大きく離れているときは、モーターの回転数を一気に上げ、目標温度に近づいてくるとモーターの回転数を緩やかにして調節する。
といった具合です。まさに最初に例に出したエアコンのような働きが比例制御の特徴と言えます。
あまり温度制御の均一性を求めない場合はON-OFF制御を、より安定した温度制御を実装したいという場合は比例制御を用いるのが一般的です。
温度制御の仕組みについて知ることで、製品の品質向上や安定化に繋がります。