落雷からビニールハウスの電気設備を守る方法と備え
2023/11/27
農業用コントローラ
農業用ビニールハウスを利用している方は「落雷があると、ハウス内の電気設備に被害があるのでは」と不安に感じる場面もあるでしょう。
そこで今回は「落雷からビニールハウスを守る方法と備え」を紹介します。
落雷は「直撃しない場合」にも注意が必要
落雷によるハウスへの被害を考えるとき、知っておきたいのは「直撃雷」と「誘導雷」があることです。
「直撃雷」とは、雷を直接受けるタイプの被害で強烈な電圧・電流が流れますが、直撃雷が当たる確率は極めて低い特徴を持ちます。一方の「誘導雷」は、直撃雷を周囲の建物や電線が受けた場合に、電圧・電流により広い範囲の電力・通信網に異常な電圧が発生したり、避雷針やアースを伝わり電気が逆流するといった性質の現象です。誘導雷が発生した場合、直撃雷の中心から数キロにわたり被害が及ぶとされており、広い範囲で被害を受ける可能性があります。
電気設備への対策
ハウスの電気設備や環境制御機器は給電するコンセントから「プラグを抜く」、またはハウス内の「ブレーカーを落とす」ことで、電気設備へ落雷の電流を遮断できます。また、農業用ハウスではアンテナなど電源以外の配線から落雷が伝わる恐れがあるので、忘れずに外しておきましょう。
万が一落雷の被害にあった場合への備え
万が一、落雷の被害にあった場合に備えて「電気設備内に避雷機能を付加」することが勧められます。
具体的には「SPD」を設置することです。SPDとは、雷による被害を防ぐ装置で、過大な電圧・電流が流れた際に、アースを通じて電気を地中に流し効果を発揮します。
また、機器自体に異常がなくても、落雷の影響で電柱や電線に異常が発生し停電する可能性もあります。停電が長時間に渡る場合は、農作物に影響がでる場合もあるため「発電機を準備」して、停電時も電気設備に給電できる様にしておくと良いです。
落雷や火災などが原因でビニールハウスに被害が出てしまっても、企業総合保険や園芸施設共済、動産総合保険などに加入することで補償を受けることが可能です。また、農業経営収入保険に加入しておくと、ハウス内の作物が被害にあって出荷量が減少したり、価格が低くなり収入が減少した場合に補填されます。
ビニールハウスや制御機器、トラクターなどの機械は高価なものも多いため、営農スタイルに合わせ保険を選び加入することをお勧めします。
以上、落雷に備え、農業用ハウスの電気設備を守る方法について解説しました。電気設備は一度設置すると安定して稼働しつづけ、対策を忘れてしまいがちです。事前に対策を施すことで、落雷時も安心して作物を育てられる態勢を作りましょう。また、雷の発生時には、農作業を行う人自身の安全を確保することも考える必要があります。ビニールハウス内にいると、ハウスを伝達して側撃雷を受ける恐れがあります。自宅や車の中など、雷を受けても安全が保たれる場所へ移動しましょう。
※気象庁によると、落雷による被害(農業用ハウス以外の被害も含む)は7月に件数が一気に増加し8月にピークに到達、9月に減少する傾向があります。そのため、7月頃までに落雷への対策を実施することが勧められます。