トマトの病気対策は適切な湿度管理から。換気のコツをご紹介

2022/04/06

農業用コントローラ

トマトの病気を防ぐためには、ハウス内の湿度を適切に保つことが不可欠。つい温度管理にばかり目が行きがちですが、湿度のコントロールも非常に重要です。今回は、トマト栽培における湿度管理のポイントについて解説します。

多湿条件で発生しやすいトマトの病気


トマトに発生する病気の多くは、湿気を好むかび(糸状菌)や細菌によるものです。農薬や抵抗性品種などによる対策をとっていたとしても、ハウス内の湿度が高いと発病の危険性が高まってしまいます。ここでは、湿度が高いときに発生しやすい主なトマトの病気と症状を一覧にまとめました。



葉かび病

主に葉に発生します。はじめは黄色の斑点、のちに灰色のカビが現れ、進行すると株ごと枯れることもあります。



灰色かび病

葉・茎・果実に発生しますが、最も被害が大きいのは果実です。表面に灰色のカビが発生し、次第に軟化・腐敗します。



斑点病

主に葉に発生します。茶色っぽい小さな斑点が徐々に広がり、進行すると斑点の中心部に穴があきます。



菌核病

主に茎に発生します。表面や内部に白いカビの塊ができ、その中に作られる黒いねずみの糞のような「菌核」が伝染源となります。



斑点細菌病

種子伝染、土壌伝染する細菌病です。葉・茎・果実に発生し、表面にかさぶた状の病斑が残ります。



軟腐病

土壌伝染性の細菌病です。わき芽かきや摘芯の切り口などから感染し、茎や果実を腐らせてしまいます。


トマト栽培の湿度管理~3つのポイント~



1. 湿度は高すぎても低すぎてもダメ!

高い湿度は病気のリスクを高めるだけでなく、トマトの生育にも良くない影響を及ぼします。一定以上まで湿度が上がると、ハウス内の空気がそれ以上水分を含有できなくなるため、トマトの葉の通気口である「気孔」から空気中に水蒸気を放出すること(=蒸散)ができなくなってしまいます。そのうちにトマトは気孔を閉じてしまい、蒸散はもちろん、成長のためのエネルギーをつくる光合成も阻害されてしまいます。

一方で、湿度は「低ければ良い」というものでもありません。湿度が低いと一時的には気孔が開き、蒸散が活発になりますが、そのうち蒸散で失われる水分に対して根からの吸水が追い付かなくなり、トマトが乾燥状態に陥ってしまいます。こうなると、トマトは体内の水分を守ろうとして気孔を閉じてしまうので、光合成や蒸散がうまくできない状態に。「高すぎず、低すぎず」の適切な湿度を保つことが大切です。



2. 湿度の変化は「ゆっくり穏やかに」が基本!

湿度の急激な変化も、トマトの気孔が閉じて光合成や蒸散が妨げられる要因となります。湿度を調整するときは、一気に高くなったり低くなったりしないよう、ゆっくり穏やかに変化させることがポイントです。気孔の開閉は湿度だけでなく温度にも左右されるので、急な温度変化も避けるようにしましょう。



3. 蒸散による湿度上昇を念頭に!

ハウス内の湿度が高くなる要因には、トマトの蒸散で放出される水分や、土壌表面からの蒸発、余分な灌水などがあります。なかでも、湿度を高める最大の要因はトマトによる蒸散です。適切な湿度を保つためには、蒸散が活発になる日中にハウス内の湿度が上昇しやすいことを考慮する必要があります。

ハウス内の湿度管理方法


換気扇(ファン)による送風や、ヒートポンプ・施設園芸用除湿器による除湿、ミストによる加湿など、湿度管理にはさまざまな方法があります。複数の方法を組み合わせるのが一般的ですが、基本となるのは天窓や側窓の開閉による換気です。

上記の3つのポイントを押さえて湿度を細かくコントロールしたいときには、ほんの少しだけ窓を開ける「スカシ換気」が有効です。環境制御装置に設定したハウス内外の温度や日射量などの条件にもとづき、蒸散によって湿度が高まるタイミングにあわせてハウス内の湿気をほどよく外に逃がすことができます。すき間からゆっくりと空気の入れ替えを行うので、温度や湿度の変化はゆるやか。トマトにとって快適な環境をキープすることができます。

以上、トマトの病気を予防するために重要な湿度管理についてご紹介しました。ここで挙げた湿度管理のポイントは、ほとんどの場合トマト以外の種類の野菜にも当てはまります。この機会に、いつもの管理方法を見直してみてはいかがでしょうか?



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