統合環境制御とは?複合環境制御との違いやハウスに導入するまでの流れ

2021/09/30

農業用コントローラ

近年、スマート農業の普及、IoT化によって多くの製品やサービスが販売され、農家への導入も進んでいます。今回は統合環境制御の基本的な知識や複合環境制御との違い、ハウスへ導入するまでの流れをご紹介します。

複合環境制御と統合環境制御の違い

環境制御には複合環境制御と統合環境制御があり、それぞれ制御方法や仕組みが異なります。

◆複合環境制御

天窓、暖房、カーテンなど複数の装置を制御する機能を有していますが、天窓は天窓の設定で動作、暖房は暖房の設定といった様に連携はせず、それぞれが独立し制御します。

◆統合環境制御

天窓、暖房、カーテンなど複数の装置を連携させ制御します。風向風速や日射など天気の変化に応じて無駄なくバランスのとれた環境をつくります。

統合環境制御を導入するメリット


(1)生産性の向上

統合環境制御は、設定した内容と測定したハウス内外のデータを基にコントロールします。例えば、日射が強く光合成が活発に行われた日の午後は天窓、暖房の管理温度を自動で補正し、光合成でつくられた糖の転流を促すこともできます。
一つの環境要因で判断をするのではなく、統合的に判断をすることで最適な環境を作り、品質向上や収量の増加が期待できます。


(2)作業の負担削減

天気の変化やハウス内の環境要因に応じて天窓やカーテンの開閉、暖房などを自動で制御してくれるため、毎日天気を見ながら開閉操作をしていた、タイマー設定を頻繁に変えていた、雨が降ったときにハウスに駆けつけていたという方の作業負担を軽減できます。その分、作物の手入れなどの作業にあたれるため作業効率も向上します。


(3)資源の高効率利用

統合環境制御は投入資源を効率的に利用します。例えば、ハウス内の気温が低く天窓が閉じているときは高濃度で炭酸ガスを施用して光合成を促進し、気温上昇によって天窓が開き始めると濃度を下げて無駄な施用を止めるなど、資源を効率的に使います。

ハウスに導入するまでの流れ


導入前に必要な知識と把握するべきこと

1)導入する目的を明確に
導入にはその目的を明確にすることが重要です。高単価作物の品質と収量のアップ。または人件費の削減など目的は様々です。もちろん収量・人件費も両方という場合もありますが、導入することによって解決する課題の優先順位を決めておくことで、センサーや制御装置の優先順位も明確になります。

2)栽培する植物の生理的機能を理解しておく
自動で制御をしてくれるとはいえ、プログラミングには「ハウス内の環境要因をどのように変化させたら収量や品質を向上させられるのか?」といった計画・管理が必要になります。これには土壌・地上環境、潅水と養分、光合成と呼吸など“植物の生理的機能”の知識が必要です。


具体的な導入に向けて

1)中長期的な視点で規模に合わせたシステムを選ぶ
比較的購入しやすくなったとはいえ、大きな投資と管理コストもかかります。
このため耐用年数も考慮した中長期的な計画が必要です。導入コスト・生産性向上による収益増額・管理費・耐用年数に応じた中間投資など中長期的な視点で試算し、規模の合わせたシステム選択が必要です。
国や県、自治体で補助金があれば活用しましょう。環境制御機器に対応した補助金が出ることもあります。こまめに情報をチェックしてみてください。

2)実践者に話を聞く・実際の現場を確認する
最初の導入はイメージが掴みにくいと思います。まずは実践者の話を聞くことをお勧めします。JAや自治体の農業振興部署、業者の方に相談するなど、積極的に自分から出向いて実践の場で各機器を見ることで導入イメージが整理され明確になります。

3)使いやすさも重要な検討事項
制御システム導入後は毎日使い続けることになります。自分の理想とする環境を整え、そのあとは各条件に応じて微修正を加える管理操作を繰り返す作業が続きます。使い勝手は十分に検討しましょう。

以上、統合環境制御について解説しました。
統合環境制御は作物の生育向上や収量向上だけではなく、栽培管理を自動でサポートしてくれます。導入目的に合せご自分のハウスにあったシステムを検討してみては如何でしょうか。

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