ハウス栽培農家必見!潅水の自動化で作業効率が上がる
2021/03/09
農業用コントローラ
ハウスの潅水って重労働!
どんな作物の栽培にも欠かすことのできない水やり。天候や作物の生育に応じた潅水管理は、農業の基本です。
雨水に頼ることもできる露地栽培とは異なり、ビニールハウスやガラス温室などのハウス栽培では、基本的に人の手による灌水が必要となります。
「たかが水やり」と思われがちですが、これが実は大変な作業。
特に、暑いハウス内での長時間の潅水作業はかなりの重労働です。潅水は毎日のことですから、少しでも負担を軽減して、その分の時間や労力を他の作業に充てたいですよね。
今回は、そんな悩みを解決してくれる自動潅水についてご紹介します。
自動潅水って何?どんな種類があるの?
自動潅水とは、圃場に設置したチューブやパイプ、スプリンクラーなどを通じて、コントローラが自動的に水を供給する潅水方法のことです。
人が手を動かさずとも、自動潅水装置が設定条件に応じて潅水してくれるので、作業の大幅な省力化・効率化を図ることができます。水と一緒に必要量の液肥を供給すれば、施肥にかかる労力の削減も可能です。
自動潅水装置には、制御方式の異なる様々な種類があります。
自動潅水装置の主な制御方式
◆タイマー式
事前に設定した時刻や灌水継続時間などの条件に合わせて自動潅水する
◆日射比例式
実測した積算日射量が設定値以上になると自動で潅水する
◆土壌水分式
実測した土壌水分量が設定値以下になると自動で灌水する
◆複合式
積算日射量と土壌水分量など、複数の測定項目からコンピュータやクラウドが最適な条件を割り出し自動灌水する。
費用が最も安く、手軽に導入できるのはタイマー式の自動潅水装置です。
しかし、天候に合わせて毎日設定を調節する必要があり、やや手間がかかります。
また、タイマー設定だけでは灌水量の微妙な調整が難しく、潅水過多や潅水不足に陥りやすいという弱点もあります。
環境条件に基づいた制御で、高精度に潅水をコントロール!
そこで取り入れたいのが、日射比例式をはじめとした環境条件に基づいた制御方式です。
タイマー式とは異なり、日射量や土壌水分量の測定値に応じて、作物が必要としている時に必要な分だけの潅水を行うことができます。
温度、湿度、飽差、CO2濃度、土壌ECなどのセンシング機能を備えた商品も続々登場しており、より高度な制御が可能になっています。
従来、こうした自動潅水装置はトマトやパプリカなどの高軒高温室で活用されてきましたが、最近はこれに限らず、様々なタイプの温室で、あらゆる野菜・果樹・花き類の栽培に利用されています。
中でも日射比例式の自動潅水装置は比較的低コストに導入できるため、多くの生産者にとって取り入れやすいアイテムとなっています。
自動潅水装置を使用すれば、アスパラガスやナスなど、少量・多頻度の潅水を好む作物の水管理も容易になり、収量や品質の向上につながります。
また、土壌水分量が変動しやすい隔離ベッドやポットでも繊細な水管理が可能になり、マンゴーやイチジク、メロンなどの栽培では、果実の糖度アップが狙えるだけでなく、樹勢の調整がしやすくなるというメリットもあります。
このように、灌水の自動化は潅水作業のみならず、栽培管理全体の労力削減や効率アップにつながります。ハウス栽培に自動潅水を上手く取り入れて、儲かる農業を目指しましょう