営農型太陽光発電を活用したきのこ栽培に挑戦するエコサンファーム様を取材
2025/02/25
きのこ栽培システム
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近年営農型太陽光発電の取り組みが増えています。営農型太陽光発電とは、作物を栽培している農地に太陽光パネルを設置し、発電しながら農業を行う取り組みです。
今回は、きのこ栽培の営農型太陽光発電に挑戦している埼玉県蓮田市のエコサンファーム様に、きのこ栽培を始めたきっかけと太陽光発電に必要な設備について伺いました。
営農型太陽光発電を始めたきっかけ
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▲株式会社エコサンファーム 代表取締役 田宮さん
エコサンファームの親会社である株式会社エコサンライトでは、再生可能エネルギー開発事業を行っています。太陽光パネルを活用した新しい事業を検討している中で営農型太陽光発電に着目し、農業事業を展開するためにエコサンファームを立ち上げました。
太陽光パネルを設置すると日陰になってしまうため、日光がなくても栽培できるきのこを選びました。
きのこの試験栽培を開始
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営農型太陽光発電とハウス栽培の組み合わせは前例が少ないことから、太陽光パネルを設置するための農地一時転用の認可が下りず、栽培の実績づくりとしてきのこの栽培を開始しました。まず、家庭菜園用の小型ビニールハウスを室内に作り、きのこの試験栽培を行いました。試験栽培が上手くいったため、次は20坪程のビニールハウスを建てて本格的にきのこ栽培を始めました。現在栽培しているきのこは、しいたけです。そのほか、きくらげや季節限定で「あわびたけ」と「たもぎだけ」も栽培しています。
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菌床は、茨城県や群馬県の菌床メーカーさんから購入しています。当初は4,000菌床をまとめて購入したところ、人員不足により手が回らず、菌床袋を開ける前からきのこが生えてきてしまったり、収穫するタイミングが分からずきのこが大きくなりすぎてしまうなど苦労しました。現在は、人員に合わせてしいたけの菌床を週2回×300個ずつ購入しています。栽培が安定してきたので、次はハウスに太陽光パネルと蓄電池を設置し、電力を供給してみる予定です。
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営農型太陽光発電を始める際に必要な設備と注意点
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太陽光発電には、太陽光パネルとパネルを載せる架台、電気を直流から交流にかえるためのパワーコンデンサー(パワコン)が必要です。発電した電力を蓄電し、夜間に使用する場合は、蓄電池設備も必要になります。
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▲パワーコンデンサー
太陽光パネルには、大きく分けて多結晶と単結晶の2種類あります。導入コストが若干高くなりますが、発電効率が高い単結晶の太陽光パネルがおすすめです。
既設のハウスにも設置することができますが、架台の配置などの問題をクリアにする必要があります。
また、田んぼなどのように地盤が弱い農地の場合、地盤を強化する必要があります。重量のある太陽光パネルを20年以上設置することになるため、地盤が弱いと太陽光パネルがどんどん傾いてしまうのです。対策方法として、太陽光パネルを設置する前に埋め立てを行い、1年程度静置することで地盤の強化を図ります。
今後は、きのこ栽培ハウスの営農型太陽光発電を稼働させ、まずは3割程度の電力を賄う計画を進めています。費用対効果を見ながら、いずれ全ての電力を太陽光発電で賄いたいと考えています。
他にも太陽光パネルとビニールハウスが一体型になった栽培施設を新設したので、そこでも実績を作りつつ、きのこ栽培と太陽光発電システムのパッケージの販売を目指します。
株式会社エコサンファーム 代表取締役 田宮 正明様