きのこをハウスで栽培する方法と注意点
2024/08/29
きのこ栽培システム
きのこ菌床栽培の新規事業を始めるにあたり、最初に決めなければならないことは、建屋(栽培施設)を決めることです。主な栽培方法は、海上コンテナ(リーファーコンテナ)を使ったコンテナ栽培、空き倉庫の中にプレハブを建てるプレハブ栽培、敷地内にハウスを建築するハウス栽培です。
この記事ではきのこのハウス栽培について必要設備などをご紹介します。
きのこ栽培に向いている建物とは?
主な3つの栽培方法についてそれぞれ解説します。
コンテナ栽培
海上輸送用のコンテナ(リーファーコンテナ)の中でしいたけやキクラゲを栽培します。
通常のドライコンテナとは異なり断熱材で囲われ、気密性が高く一定の温度を保つことができます。そのため栽培環境がコントロールしやすく、きのこの栽培に向いています。
サイズは20フィート(約5坪)と40フィート(約10坪)の2種類あり、1コンテナ当たり20フィートの場合は300~400個、40フィートの場合は約800~900個の菌床を栽培することが可能です。このサイズのコンテナを設置できる土地の確保が必要です。
ニッポーのYouTubeチャンネルでもコンテナ栽培の様子を配信していますので、チェックしてみてください。
●注意点
新しくコンテナを購入する場合、新造リーファーコンテナの購入だけで400~500万円ほどの初期投資が必要になります。高額なため、すでにコンテナをお持ちの方に向いています。
プレハブ栽培
倉庫や工場の中にプレハブ冷蔵庫を建てて、プレハブの中できのこを栽培します。コンテナと同様に気密性が高いため、栽培環境の管理がしやすいこと、組み立てが簡単な点が大きなメリットです。
●注意点
プレハブは屋根に傾斜がないので屋外に設置した場合、雨水が溜まりやすく、雨漏りや屋根の劣化につながります。また、断熱効果を考える必要があるためやはり建物内に建てることを推奨しています。空き倉庫や工場の空いたスペースを活用したい方に向いています。
※栽培面積は倉庫内以下の広さになります。
ハウス栽培
骨組みは農業用のビニールハウスと同じ鉄パイプですが、二重構造になっており、被覆材も異なります。ハウスの内側に断熱材を貼るまたは発泡ウレタンを吹き付け断熱性を上げます。ハウス外側には完全遮光可能な被覆材を使用し、光を遮断します。きのこ(菌類)は光合成をしないため栽培には太陽光は必要ありません。
コンテナや(室内に設置した)プレハブに比べると栽培面積を広くすることができ、自由に設計できる点が大きなメリットです。
●注意点
きのこは暑さに弱いため、温度管理が重要です。(きくらげやシイタケの場合は20~23℃ほどで管理)外気の影響を受けると冬はハウス内が暖まりにくい、夏は冷えにくいなど環境管理が難しくなるため、ランニングコストも高くなってしまいます。できる限り気密性を高め、断熱・遮光を行います。
また、ハウス栽培は災害に弱い点がデメリットです。通常の農業ハウスの径(19.1mm、22.2mm、25.4mm)でも栽培可能ですが、最近では雪害や台風などの自然災害が増えているため、頑丈さを重視し、単管パイプ48径(48.6mm)で設計するハウスメーカーも増えています。
きのこのハウス栽培に必要な設備
栽培棚が必要です。ハウスの中に棚を並べる棚置方式で袋栽培が一般的です。60坪ハウスで5,000個以上の菌床を栽培することが可能です。 しいたけを栽培する場合は浸水槽が必要です。きのこの発生操作は通常2~3サイクルしますが、休憩→浸水→休憩を挟んで次のサイクルに移ります。ハウス内に仕切りをつけることで、浸水槽を設置したり、作業を行うための準備室を作ることもできます。
▲浸水槽
【すでに農業用ハウスをお持ちの方】
すでに農業用のハウスをもっている方は、被覆材を変えれば骨組みはそのまま使用することができます。ただし、遮光するとハウス内が真っ暗になるため、照明が必要です。
また、栽培時に散水するため、地面が土のままでは足元が悪くなってしまいます。衛生面(きのこバエの発生等)や設置棚の安定性を考えると、ビニールやシートを敷いたり、コンクリートにすると良いでしょう。もちろん排水対策も必要です。
その他環境管理に必要な設備は以下の記事をご覧ください。
ハウス栽培における注意点とワンポイントアドバイス
・近年は気候変動が激しいため、エアコンの能力はワンランク上を選びましょう
★ワンポイント★
夏場の換気例:暖かい空気をそのまま室内に入れてしまうとエアコンの稼働率が上がります。排気する熱を回収し、室内の温度に近づけてから入れることができる熱交換器を使用することでランニングコストを抑えることができます。
▲熱交換器「涼風」
・カビの発生を防止しましょう
★ワンポイント★
ビニールの表面に水が溜まってカビが発生するため循環扇を使ってハウス内に空気の流れを作りましょう。収穫後は、棚を清掃し清潔に保ちましょう。
今回はきのこのハウス栽培についてご紹介しました。
もっと詳しく知りたい方はニッポーまでお問い合わせください。きのこ栽培機器の導入支援やサポートをさせていただきます。