エリンギ栽培は難しい?失敗しない栽培方法をご紹介

2024/02/26

きのこ栽培システム

エリンギを栽培することは難しいと考えられがちですが、カビの心配が少ない適切な環境と栽培方法を知ることで、栄養豊かなエリンギを育てることが可能です。この記事ではエリンギ栽培を成功させるポイントをご紹介します。


エリンギの特徴とは?

弾力のある噛みごたえやクセのないことから、様々な料理の食材として利用されるエリンギ。ヒラタケ科のきのこで、原産地はヨーロッパや北アメリカと言われており、日本には1993年に台湾から伝来し、栽培が始まりました。
現在も日本では自生しておらず、すべて人工栽培のものが販売されています。

カリウムと食物繊維を多く含んでいて、大腸がんの予防、便秘、ダイエット、そして肝機能障害の予防にも効果があるといわれています。

エリンギ栽培に必要な機器

エリンギ栽培に必要な機器をご紹介していきます。

温度調節器と湿度調節器

▲デジタル温度調節計「DG3000」(左)、湿度調節計「HCシリーズ」(右)

エリンギに限らず、きのこ栽培においては温度と湿度を適切に管理することが重要です。そのために温度調節器と湿度調節器は必ず揃えましょう。
エリンギ栽培の最適温度は14〜20℃で、湿度は90%以上を保ちます。これらを怠ると、菌がうまく育たないばかりか、最悪の場合カビが発生し売り物にならなくなってしまうので、注意が必要です。

加湿器

▲超音波加湿器「霧風」

エリンギ栽培のための高湿度空間を作り出すために、加湿器も用意します。前述の通りエリンギ栽培においては湿度を90%以上と、非常に高湿度に保つ必要があるので、家庭用ではなくきのこ栽培専用の加湿器が必要になってきます。栽培室の広さに見合った能力をもつ加湿器を選びましょう。

空調装置(エアコン)

エリンギ栽培の最適温度を保つために使用します。栽培室の広さに見合った能力をもち、湿度にも耐えられるモデルを選びましょう。

換気装置

エリンギは生長する際に二酸化炭素(CO₂)を放出します。そのCO₂を屋外に排出するために、換気装置も必要です。換気が足りないとエリンギが酸欠状態に陥り、生育不良を起こすおそれもありますので、こちらも必ず用意しましょう。

熱交換器

▲熱交換器「涼風」

換気装置のみでの換気を行うことも可能ですが、外気温と栽培室内の温度に大きな差があると、生育不良を起こす原因になります。熱交換器は温度差をできるだけ少なくしながら外気を取り込むことが可能なため、導入することをおすすめします。

CO₂コントローラ

▲CO₂コントローラ「CO₂NAVI」

前述の通り、エリンギは生長する際にCO₂を放出するため、栽培室内のCO₂濃度を適切に保つために使用します。


菌床を自社で作る場合は、撹拌機(ミキサー)、袋詰機、殺菌釜、接種機などが別途必要になります。

エリンギ栽培の始め方


以下にエリンギ栽培の手順をご紹介していきます。

●培地の準備

まずは菌を繁殖させる培地を準備します。以下のようなものをベースとして用意しましょう。
・おがくず
・コーンコブミール(とうもろこしの芯を乾燥、粉砕、選別したもの)
・コットンハル(綿実を脱穀した際に分離する綿毛の付いた殻)

さらに栄養分を加えるために以下の添加物を使用します。
・ふすま、コーンブラン
・米ぬか
・ネオビタス(ウイスキーの絞り粕)

これらに水分率65%程度になるように水を加え、培地をつくります。

●培地の殺菌

エリンギ栽培は培地で菌糸を増やすため、培地に他の菌が混入するとうまく育ちません。それを防ぐために必ず培地を殺菌しましょう。
高圧殺菌釜の場合は120℃を目安に1時間ほど殺菌します。殺菌を終えたあとは常温に戻すために冷却しますがここでも不要な菌が入らないように細心の注意が必要です。
冷却室の消毒にくわえ、釜から出す温度をできるだけ下げてから出し「戻り空気」が入らないように気をつけましょう。

●植菌(接種)

培地の温度が常温(20℃以下)になったら植菌(接種)していきます。ここでも雑菌が混入しないように注意しながら、エリンギの種菌を注入します。

●培養管理

種菌後は菌が育ちやすい環境を整えていく必要があります。重要なのは温湿度の管理です。時間はかかりますが放置はせず、培養室の温度を18~22℃、湿度を60~80%前後に保ちましょう。
初期は活着と菌糸の伸長が遅いので、ビンに空調の風が当たらないように注意しましょう。中期以降は温度が適温よりも上がらないように注意しながら、CO₂濃度が2,000ppm以下になるように換気にも注意しましょう。培養期間は30~45日間が目安です。

●菌かき・発生

培養後、菌を室温14~15℃前後、湿度70~95%に調整された発生室に移動します。ここでもCO₂濃度が2,000ppm以下になるように換気が必要です。
培養後に老化した部分を取り除く「菌かき」を行うと、7〜10日で発芽しはじめます。

●収穫

カサの直径が4~5センチ程度まで成長したら収穫しましょう。根元から切って収穫し、パッケージに詰めていきます。
その際、水が付着するとその部分から傷んでしまうので、十分に注意が必要です。



いかがでしたでしょうか。
家庭やレストランでも人気なエリンギ栽培に必要な設備とその栽培方法をまとめました。エリンギ栽培への具体的な道のりをわかっていただけたのではないでしょうか。栽培を検討されている方はぜひ一度ニッポーへご相談ください。

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