クリーンルームの構造~きのこ栽培で雑菌を入れないためのコツ~

2024/01/26

きのこ栽培システム

きのこ栽培における大きな課題の一つが、雑菌やカビの侵入・繁殖を防ぐことです。通常きのこ栽培においてカビが生えてしまうことは少ないのですが、工程を失敗すると青カビ等の雑菌が発生してしまいます。 今回は、種菌の接種を行うクリーンルームで必要な対策とポイントをご紹介します。

クリーンルームとは?


クリーンルームとは空気清浄度が確保された部屋のことで、きのこ栽培では高温で殺菌した培地を冷やす際やその培地に種菌の接種を行う際に利用します。工場によって設備は簡易的なものから大掛かりなものまで様々ですが、いずれにせよ雑菌を防いできのこを育てることが目的です。

クリーンルームは気流の流れ方で以下の3つの方式に別れ、それぞれ構造や設計が違います。


一方向流方式

空気の流れを垂直もしくは水平に、一方向から流れるようにコントロールします。天井や壁の一面にHEPAフィルタといった高性能のフィルタを設置し最高レベルの清浄度を保つことができるのがメリットですが、一方でランニングコストは高くなってしまいます。



非一方向流方式

天井や壁の一部にフィルタを設置し、一部に排気口を設け空気を乱流にして循環させる方式です。クリーンルーム内で発生するチリやホコリ等を室外に排出させますが、一方向流方式と比べると清浄度はやや落ちてしまいます。
ただ、ランニングコストはその分安く抑えることができます。



混合方式

一方向流方式と非一方向流方式を混合させた方式です。両者のいい所どりができ、ランニングコストを抑えたまま高い清浄度を保つことが可能です。


雑菌の侵入を防ぐためには、作業をする際の服装にも気をつける必要があります。クリーンルーム内部ではクリーンスーツの着用が原則で、マスクや手袋、帽子も着用しなければいけません。また、出入り口にはエアシャワーを設置し、服や靴についた汚染物をクリーンルーム内に持ち込まないことも重要です。


きのこ栽培で雑菌が入るとどうなる?きのこ菌との見分け方とは?


ではもし、きのこ栽培で雑菌が入るとどうなってしまうのでしょうか?

きのこ栽培においては、きのこ以外の雑菌が発生し被害を与えることがあります。菌類はその形態に応じて呼称が変わり「酵母」「きのこ」「カビ」がありますが、きのこ栽培においてはカビの発生に気をつけなければいけません。
きのこに白くフワフワと生えたものは「気中菌糸」といってきのこの一部であり、食べることができます。しかし青や緑色のものは「青カビ」であり、それらが発生してしまったきのこは商品にはなりません。色の他にも、異臭がしたり水っぽくてヌメヌメしていたらカビである可能性が高いと言えます。

きのこ菌とカビの見分け方を理解したうえで、万が一カビを発見してしまった場合は、その部分の菌床をすぐに外に出して廃棄しましょう。

雑菌を入れないための3つの対策


では、カビ等の雑菌を入れないためにはどうすればよいのでしょうか?ここではきのこを栽培する過程において、雑菌を入れないための3つの対策をご紹介します。



●殺菌釜内の温度センサの定期的な交換や温度ずれチェックを行う

きのこ栽培においては、湿度や温度の管理が特に重要ですが雑菌対策という観点においても温度を適切に管理することがとても大切です。そのために、温度を監視するセンサを定期的に交換したり温度がずれていないかチェックするなどこまめなメンテナンスを心がけましょう。 センサの故障によって温度管理がうまくいかず、結果的に雑菌の侵入・繁殖を招いてしまうという事例は多いため注意が必要です。


▲温度センサ



●冷却時に外気を入れない

培地を殺菌したあと、種菌の接種に適した温度まで冷却するまでの間は外気をいれないようにしましょう。これは外から雑菌が侵入してしまうのを防ぐためで、冷却には冷房を使用し接種可能な温度まで下げることが重要です。空気循環時にはプレフィルターとHEPAフィルターを併用しましょう。


▲冷房



●除菌装置を使用する

上記のようなポイントを抑えたうえでも、雑菌の侵入を完全に防ぐことは簡単ではありません。そこで、酸素クラスターを利用した除菌もおすすめです。酸素クラスターを使えば、空気中の浮遊菌を抑制し雑菌増殖を予防することができます。
HEPAフィルタとのW効果も期待でき、HEPAフィルタのみを使用した場合とHEPAフィルタと酸素クラスター両方を設置した場合では、害菌感染した菌床の発生率は0.5%から0.2へとおよそ60%減少したという実験結果もあり、雑菌対策の強い味方になるはずです。


▲酸素クラスター「Nature BCL110」




いかがでしたでしょうか。ここまできのこ栽培における雑菌対策についてまとめてきました。せっかく手間ひまかけて育てた大切なきのこも、カビが発生してしまったら廃棄せざるを得ません。きのこの大敵である雑菌の対策をしっかりとしたうえでさらにおいしく高品質なきのこの作り方をマスターしてくださいね。




▼関連記事
お電話でのお問い合わせ

0120-963-166

携帯電話からは048-255-0066