きのこ栽培にLEDライトを使うメリットとは?色による効果や生育への影響を解説

2023/09/15

きのこ栽培システム

きのこの菌床栽培において、LEDの活用が生育に良い影響を与えることがわかってきており、最適なLED照射方法の研究が各所で進んでいます。菌床栽培にLEDを活用するメリットとその効果について解説します。

きのこと光の関係

きのこの菌床栽培では、害菌の影響を防ぐために衛生管理された施設内で栽培を行います。菌類であるきのこは紫外線が菌糸体の成長を妨げることから光合成を行いません。培養期は光の照射を制限した暗室で行われ、子実体の発生・成長段階では蛍光灯を光源として光照射をコントロールすることが一般的です。
きのこが光合成を行わないといっても、光に反応するタンパク質を持っていることが研究で明らかになっており、青色の光に反応して子実体の形成が促され、熟成期間や発生後の生育に好影響をもたらすことが実証されています。

きのこ栽培におけるLED導入メリット


住宅向け照明やイルミネーションとして普及してきたLED照明は農業分野でも活用の幅が広がってきています。きのこの栽培にLED照明を用いることで、従来の蛍光灯照明と比較し次のようなメリットが得られます。

LEDの電気料金は蛍光灯のおおよそ1/4程度で済む。
蛍光灯に比べ、長期間使用できる。
(蛍光灯:4,000~5,000時間/LED:40,000時間)
発熱の多い蛍光灯は空調に負荷がかかるが、LEDは光源に熱を持たない。
設置空間の制約が少ない。
光源の構造上、堅牢性が高い。
作物に応じて必要な波長を選択することができる。

特に、省電力であることと交換の回数が少なくて済むという点は設備コストとランニングコストを大幅に削減し、メンテナンスの手間という点でも大きなメリットがあります。 また、蛍光灯は天井に設置され室内灯として用いられますが、小型で点光源であるLED照明は菌床に近接させて設置することが可能であり、単波長である特性を活かし菌床ごとに必要とされる波長のみを選択して効率的に照射を行うことが可能です。

【種類別】LEDの活用方法


菌床栽培の過程の中で培養期には照明を使わず、原基の形成、子実体の成長過程で光照射を行うことが必須条件となります。最適なLED照明の活用方法はきのこの種別によって異なり、公的機関や民間企業によって研究が進められています。



しいたけ

従来のしいたけ栽培では培養期は暗室で栽培し、熟成期と生育期には蛍光灯を用いて昼間のみの点灯、原基形成期のみ昼夜連続点灯を行うという例が一般的です。 熟成期に青色LEDを照射すると、発生重量とMサイズ以上の発生個数がともに50%程度増加し、菌回し後の熟成期に青色LEDを照射すると培養期間が短縮できることが報告されています。



えのきだけ

えのきだけは傘の大きさと柄の長さが揃っていることが商品価値をもたらします。生育期の丈が2~3cmの時点で青色・白色LEDを照射すると傘の形成が促進され見栄えを良くする効果があるとされています。 菌掻き後数日間LEDを照射すると菌床剥離を軽減する効果が認められています。えのきだけの栽培現場では移動式の照明装置が用いられます。



ぶなしめじ

ぶなしめじは、芽出し・生育段階に蛍光灯を昼間のみ点灯しておくというのが一般的な照度管理の方法であり、生育期に光照射を行わないと色づきが悪く淡色な傘になってしまいます。 生育期に白色LEDを使用することで傘の大きさ・柄の長さが揃うという結果も見られています。また、培養・熟成段階で青色LEDを照射することで、生育日数が短縮されたという報告も挙がっています。



なめこ

なめこ栽培では培養期間は暗栽培を行い発生段階から蛍光灯照射を行います。培養後期に青色LEDの照射を行ったところ、照射日数が10日を超えた場合に2倍程度の重量増加が見られたとされ、LEDの照射日数が長いほど発生から収穫の期間までの日数も短縮される効果が報告されています。





きのこ栽培におけるLEDの活用は、比較的最近になって実証試験や研究が行われてきた段階ですが、既に各メーカーからきのこ栽培用のLED照明も販売されています。省エネに加えて、菌床栽培の品質向上のためにLED照明導入のメリットは大きいため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。




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