キノコバエはどこから発生する?原因と対策方法をご紹介
2022/07/15
きのこ栽培システム
日本に生息するハエは3,000種もいると言われ、最も身近な昆虫です。ハエの中には、キノコ栽培で被害を及ぼすキノコバエという小さなハエもいます。本記事では、キノコバエがキノコ栽培に及ぼす被害と駆除方法について解説します。
キノコバエとは
キノコバエは、ハエ目カ亜目キノコバエ科に属する昆虫の総称です。幼虫は、湿気の多い腐葉土や腐った木などに生息しています。100種類以上もの仲間がいると言われていますが詳しい生態はわかっていません。体長は1~4㎜と非常に小さいことから、どこからともなく室内に侵入することもあります。体色は、暗褐色から黒色です。年間を通じて発生しますが、幼虫が湿気の多い場所を好むため、梅雨の時期が最も発生しやすい時期です。
キノコバエによる被害
キノコバエは、刺したりすることがないため、人に対して直接的な被害を及ぼすことはありません。しかし、クロバネキノコバエやチビクロバネキノコバエ、ナガマドキノコバエなどキノコ栽培で発生するキノコバエは、深刻な農業被害を及ぼすことがあります。
キノコバエによる主な被害は、幼虫によるキノコと菌床の食害です。成虫は、直接キノコを食べることはありませんが、しいたけなどの傘の裏に潜んでいて、商品として出荷された後にパックの中に出てきます。このような商品は購入されないだけでなく、生産者の信用問題になりかねません。
キノコバエ対策と駆除方法
予防対策
キノコバエの被害を防ぐには、防虫ネットで栽培施設を被覆する、傷んだ菌床や廃菌床を速やかに処分する、廃菌床を栽培施設の近くに置かないなど、予防対策を十分に行うことが大切です。
防除対策
キノコバエの防除方法には、大きく分けて「誘虫灯を使った電気捕虫器」と「捕虫用粘着シート」があります。どちらも光や誘引剤のトラップによってキノコバエを捕まえる仕組みです。しかし、あまり効果がなかったり、手間がかかる、ランニングコストが高いなどの課題があります。
キノコバエは、家庭の観葉植物などでも発生するため、インターネットには殺虫剤や自作のトラップなどを使った駆除方法がいろいろと紹介されていますが、農家のキノコ栽培ではより安全で効率的に駆除できる方法が求められます。近年では、寄生バチなどキノコバエの天敵を使った方法も研究されていますが、より確実に駆除するには専用の捕虫器を設置するのがおすすめです。