廃菌床の処分方法と環境にやさしい再利用の方法をご紹介
2021/11/05
きのこ栽培システム
菌床を用いたきのこ栽培とは
菌床を用いたきのこ栽培は、小規模で始められ安定した収益が見込めることから、新規就農の入り口として注目されています。菌床とは、おがくずに米糠などの栄養を混ぜて固めた培地で、ここに種菌を接種して栽培します。
廃菌床の現状
菌床栽培はきのこの生育も安定しており、原木栽培よりも短期間で収穫することが可能で、1年中栽培が出来るというメリットがあります。しかし、菌床は一度の収穫が終わると産業廃棄物としてお金をかけて処分する必要があります。廃菌床は収穫できるきのこの2~3倍(重量比)の量が発生するため、お金をかけて廃棄するよりは、無料もしくは有価物として再利用することが出来れば、経営の面でも環境の面でもメリットとなります。
廃菌床の処分方法
廃棄
一般的な処分方法は、焼却処分もしくは埋め立て処分です。廃菌床はおがくずなどを原料としているため、焼却すると温室効果のある二酸化炭素が発生してしまいます。また、埋め立て処分出来る土地は山林を切り開いたり、海を埋め立てたりして作られるため、環境への影響が懸念されます。当然処分費もそれなりにかかります。
再利用
(1)堆肥化して再利用
廃菌床の中には、きのこを収穫した後も豊富な栄養素が残っているため、破砕してそのまま、もしくは堆肥化して畑に撒くことで農業利用が可能です。特に廃菌床は窒素含有量が少ない上、微生物の活動も促進されやすく、土壌改良に効果的です。堆肥化を行っている業者や農家に無料もしくは有価物として引き取ってもらえる例もあります。地域内でネットワークを構築できれば、輸送費などの費用を削減できるため、お互いにメリットを生むことが出来ます。また、自社で堆肥化することが出来れば、堆肥として販売することも可能です。
廃菌床を堆肥化し再利用するためには、ポリ袋と分別し、廃菌床を破砕する必要があります。しかし、乾燥した廃菌床は硬く、人力で破砕するには時間と労力がかかるため、廃床処理機を使用すると、簡単に細かくすることが出来ます。
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(2)昆虫マット(カブトムシ、クワガタの飼育)への再利用
カブトムシやクワガタの幼虫を飼育する昆虫マット(廃菌床マット)として再利用する方法もあります。中にはきのこ栽培の副業として、ヘラクレスオオカブトなどの高級な昆虫を飼育し販売している生産者もいます。趣味と実益を兼ねた利用方法としても注目を集めています。
(3)菌床として再利用
より環境に配慮した再利用法として、廃菌床から新しい菌床を作る研究もされています。廃菌床を破砕して熱処理することで古い菌糸や老廃物を分解し、新しい基材や栄養源を加えて菌床とします。この方法では廃棄物が出ず、廃棄コストや菌床自体のコストを削減することが出来るため、期待されています。