新規ではじめる菌床栽培~メリット・デメリット~

2021/07/27

きのこ栽培システム

新規就農を考えている方、また新規事業として農業への参入を考えている方にとって、どんな作物を栽培するかは重要なポイントです。近年、小規模でスタートし安定した収益が見込める「きのこの菌床栽培」が注目されています。この記事では菌床栽培のメリットとデメリットについて解説します。

菌床栽培とは

きのこを栽培するには、大きく分けて「原木栽培」と「菌床栽培」の2つの方法があります。原木栽培とは、伐採した天然の木にドリルで穴をあけて、そこの種菌を植え付けて林の中などの自然環境できのこを発生させる栽培方法です。一方、菌床栽培はオガクズに米糠などの栄養を混ぜて固めた培地に、種菌を接種して栽培する方法です。


菌床栽培のメリット


きのこの菌床栽培には次のようなメリットがあります。

収穫までの期間が短い

原木栽培では植菌をした後、原木全体に菌が行き渡るまで長い培養期間が必要です。これを「伏せ込み」と言いますが、しいたけの場合その期間は1年半です。一方、菌床栽培はハウスの中などで空調管理することで、5~20週ほどで収穫が可能です。そのため早期に収益化することができます。



1年を通じて収穫ができる

きのこの種類によって異なりますが、原木栽培で収穫できるのは年に1~2回です。菌床栽培は、1年を通して収穫することができます。例えばしいたけの原木栽培では、収穫できるのは春と秋だけのため、収穫時期意外は干ししいたけに加工して販売するしかありません。一方で菌床栽培では、生しいたけを1年中販売することができます。



働き手を確保しやすい

山間地での原木栽培は、大変な重労働で後継者不足が課題となっています。しかし菌床栽培では、栽培から収穫、出荷まで空調が整った施設内での作業のため、女性や高齢者も働くことができます。



原木栽培では難しいきのこも栽培可能

きのこといっても椎茸や舞茸、キクラゲ、ヒラタケなどさまざまな種類があります。中には自然環境では生育が難しいきのこもあります。菌床栽培では、マッシュルームなどそもそも日本で生育していなかったきのこ栽培が可能です。最近では高級食材であるトリュフの試験栽培も始まっています。



菌床栽培のデメリット


一方、菌床栽培には以下のデメリットがあります。



初期投資や設備の維持にお金がかかる

菌床栽培のデメリットとしては、空調設備や換気設備などの初期投資が必要なことがあげられます。しかし、現在あるハウスや倉庫などを活用して、小規模からスタートすることで初期投資を抑えることができます。


初期投資を抑えて小規模でスタートできるきのこの菌床栽培は、新規で農業を始める方におすすめです。栽培方法も確立されているため、新規事業としてきのこの菌床栽培を検討してみてはいかがでしょうか。




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