きくらげ栽培を始めたい方必見。初期費用と失敗しない3つのポイント
2021/06/18
きのこ栽培システム
中華料理には欠かせない食材のきくらげ。これまで、そのほとんどは中国から輸入される乾燥きくらげでしたが、近年は国内でも栽培されるようになり、生のきくらげも流通するようになってきました。今回は、これからきくらげ栽培を始めたい人に向けて、初期費用や失敗しないポイントを紹介します。
きくらげの国内生産と輸入の現状
日本で流通しているきくらげの多くは中国産の乾燥きくらげです。林野庁の「特用林産物生産統計調査」によると、令和元年に輸入された乾燥きくらげは2,532トンで、そのうち2,518トンが中国産です。
一方で国内で生産されている生きくらげは1,263トンで、乾燥きくらげは105トンでした。食の安全安心が求められる中で、国内産きくらげの需要が高まり、生産量も年々増加しています。
参考:林野庁「令和元年特用林産物生産統計調査」
きくらげ栽培に必要なもの
きくらげは、北海道から沖縄まで日本各地に広く自生していますが、流通しているもののほとんどは栽培されたものです。一般的にきくらげと呼ばれているものには、キクラゲ科キクラゲ属の「キクラゲ」と「アカゲキクラゲ」、シロキクラゲ科シロキクラゲ属の「シロキクラゲ(白きくらげ)」などの種類があります。
きくらげに限らず事業としてきのこ栽培を行うには、①栽培施設と設備、②栽培技術、③販路が必要となります。
① 栽培施設と設備
栽培施設と設備については、準備できる資金によって変わりますが、既存のビニールハウスなどを利用するなどで、初期費用を抑えてスタートする方法もあります。
② 栽培技術
栽培技術については、周辺の生産者に教えてもらう他に、設備業者や菌床販売の業者に指導してもらう方法もあります。
③ 販路
販路については、栽培を始める前から各所に営業をしておきましょう。
失敗しないきくらげ栽培3つのポイント
ここからはきくらげ栽培で大切な3つのポイントをご紹介します。
1.原木栽培と菌床栽培
きくらげの栽培方法には、原木栽培と菌床栽培がありますが、一般的には菌床栽培が行われています。原木栽培は、原木から採ったというブランド価値を付加できますが、天候や気温、病害虫の影響を受けやすく収量や品質が安定しません。また原木は重いため重労働になります。一方で菌床栽培では、施設や設備にコストがかかりますが、1年を通じて収穫することが可能です。
2.温度管理と湿度管理
きくらげの栽培は、温度管理と湿度管理が重要です。ビニールハウスなどでも栽培は可能ですが、周年栽培するには、室温を一定に保つための設備が必要となります。最近では、気密性や遮熱性・遮光性に優れたコンテナを利用した栽培システムなどもあり、試験的にきくらげ栽培を始める企業も増えています。
3.販路の確保
きくらげ栽培は儲かると言われますが、栽培しただけでは収入にはなりません。JAや卸売業者に出荷すると量はさばけますが単価は安くなります。地域の農産物直売所やスーパーなど、少しでも高く売れる販路を開拓することが大切です。