開発秘話
統合環境制御盤「ハウスナビ・アドバンス」ができるまで【開発者:杠】
2021/02/16
開発秘話
開発のきっかけは「熊本県で環境制御が始まる!」との情報
2013年のある日。自宅で晩酌をしながらテレビを見ていたら、熊本県のJA玉名の課長さんが出演されており、“オランダ農業に倣って環境制御を始めた話”をしておられました。
これは是非とも当社の「飽差(ほうさ)制御盤」を勧めたい!と思い、すぐさま営業の山田君に電話をかけ「この方と会って話がしたい!何とかアポはとれないか?」と依頼をしました。当時誕生したばかりの飽差制御盤(現在の飽差プラス)は、私にとって一押しの商品でした。
飽差プラス
同年8月、念願であった課長さんにお会いする機会を設けていただくことができました。
当時、熊本県にはまだ環境制御が普及しておらず、とくに北部の玉名市は、八代市に比べるとまだまだ遅れている状況でした。
そこで「玉名市でもなんとか環境制御を推進していきたい!」と、熊本各地のJAや経済連、農業技術センターなど出先機関を紹介していただき、次々に訪問して回りました。
「農家の声を聞きながら商品開発」トマト農家さんとの出会い
同年11月。肌寒い日が続く中、各機関を訪問していると「生産者のもとで飽差制御盤の説明をしてほしい」と依頼を受け、喜んで飛んで行った先がトマト農家の橘さん宅でした。
しかし、よくよく話を聞いてみると橘さんがやりたいのは“天窓の開閉で飽差を管理する=換気式”。しかし、私が開発した飽差制御盤は“ミストの噴霧で飽差を管理するミスト式”でした。
今の商品では対応できませんでした。すぐさま島根工場へ帰り、飽差制御盤を改造して、気象測定部などの必要機材の製作に入りました。
ここで開発されたのが、現在のハウスナビの原型とも言うべき「飽差制御盤換気式」です。そして翌月、12月24日に橘さんの圃場を再度訪問し、完成した“飽差制御盤換気式“を設置しました。
ご意見を頂いてはホテルへ戻ってソフトを修正し、また圃場で動作試験を行ってはご意見を頂く。そんな圃場とホテルの往復を繰り返し、なんとか動作の基礎部分を完成させることが出来ました。
そして自宅に帰ったのは大晦日。無我夢中で作業をしていたので、日付なんてすっかり忘れていました。これは私にとってもかなり思い出深い経験となりました。
自宅に帰ったときに、「これからまた新しい挑戦が始まる。その第一歩を踏み出した今年も、あと数時間で終わるのか...」と、あの日テレビで見た課長さんの映像から始まり、熊本を走り回った怒涛の1年間が思い起こされ、なんとも感慨深いものでした。お忙しい中でもお付き合いいただいた橘さんにも感謝、感謝です。
ついに誕生︕「ハウスナビ・アドバンス」熊本県の公式事業にも採用
その後も生産者の声を取り入れてバージョンアップを繰り返しながら、2014年5月には「熊本県次世代ハウス環境制御システム普及体制事業(3ヶ年計画)」の応募に声をかけていただいたのです。
そして同年7月、審査の結果、採択されました。そして商品名を「ハウスナビ・アドバンス」へ改め、正式販売が始まったのでした。
ハウスナビ・アドバンス
最初はトラブルも多く、何が問題なのか特定するのも難しいほどでした。
しかし、生産者のみなさんが「自分の意見も反映してくれてありがとう︕」「使いやすくなった︕」「設定がつまみなのは簡単︕」「これは世界最高峰だね︕」と喜びの声をくださることがうれしくて、もっと良い商品を作ろう︕と活力になりました。
高知県 ピーマン生産者とニッポー社員
まさに生産者と一緒に、生産者の目線で、生産者の声を聞きながら開発してきたので、使いやすさには自信があります!
タッチパネルは日射の強いハウスでも耐えられるように、紫外線に強いものを採用しました。実は電気自動車の充電ステーションで使われているものと同じものです。
また、パソコンが苦手な方が多いと知り、パソコンを使わなくても設定できるようにしました。
ハウスナビは農家のみなさんが使いやすいように、画面が見やすく、操作が簡単になるように作りました。
植物の光合成を促進するために、ハウス内の環境(光・水・CO2、湿度など)を自動で制御してくれる装置です。
ハウス内の環境は、CO2が不足したり、水が多すぎたり、何か1つでもバランスが崩れると悪い方に引っ張られてしまいます。
これを自動で制御できる「省力化」を備えた機械がハウスナビです。ぜひ使ってみてください。現場を見たいけど周りで導入している人がいない方はお気軽にご相談ください。
ハウスナビ・アドバンス
/nogyo-controller/house-navi-advance/
開発者プロフィール
左:開発者 杠/右:営業山田君